ネット通販の経営に役立つ情報とツールを紹介する初心者支援サイト
経産省の実証実験の成果を引き継いで設立されたECネットワークは「トラブルなく安心して参加できるEコマース市場」の実現を目指す非営利の会費制民間団体です。
ECガイドの通販セラーズガイドは電子商取引に関するネットショップの望ましい行動指針を示し、EC関連法律のQ&AやモデルページはECに係わるガイドラインの必要項目を掲載しています。ネットショップ構築のポイント
ネットショップのサイト構築には、法律の遵守以外にも利用者の利便に供する機能や運営が不可欠です。特に利用者の心理や感情が掴み難いため、利用者目線で常にチェックする努力の継続が必要です。
特定商取引法に基づく表記内容を表示する
サイトに表記事項の記載がない場合、検索エンジンや雑誌、ショッピングモールなどに登録がされません。個人情報の取扱に関する方針を示すプライバシーポリシーの記載も規模を問わず必須です。
契約成立及び支払条件を明示する
現物商品の確認できない先払方式の場合はハンディがありますので、代金引換の決済は最低でも用意すべきです。加盟審査のある電子決済やカード決済などを扱うことで、信用あるお店と判断されます。
契約成立及び支払条件の表示例
ネットでのショッピングは送料や決済方法、配達日指定、包装などのオプションが自動加算されるシステムが必要ですが、通常のクレジット決済は決済代行会社と別契約になる場合があります。
このシステムの導入は設置から運用、販売情報管理、保守管理が最小の労力とコストで構築できる無料パッケージシステムにosCommerce、Zen Cart、EC-CUBEなどや比較的商品点数の少ない小規模店向けのフリーCGIを配布するFreeCartを利用する方法があります。
既存サイトにリンクするだけで簡単に導入できるショッピングカートのASP業者であるSHOP-MakerはSSLやクレジットの決済代行、請求書発行、商品在庫管理などの高機能カートを提供しており、既存デザインを活かした一体型のサイトが構築できます。
また、無料版は独自ドメインでの利用が不可ながらFC2ショッピングカートは簡単に設置できます。買物かごの操作性は購入決定を左右しますので、少なくとも次のような機能に注意する必要があります。
- 複数の送料設定
地域や重量別以外に全国一律、一定額以上無料などの設定機能が必要です。- 入力情報の気配り
個人情報を最低限に限定すると顧客の安心感を得られます。年齢、性別、趣味などの属人情報はリピーターの可能性が高い登録会員になった後でも遅くはありません。配送先が本人と異なる場合は保存期間を明示するなど、本人及び配送先の個人情報に配慮している姿勢を示すことが大切です。なお、特別な贈答目的などもありますので、次のような入力項目もお考えください。
1.連絡先の選択欄を設置(本人以外不可など)
2.連絡方法の複数選択欄を設置(固定電話、携帯電話、FAX、メール、郵便など)- オプション料金の追加設定
代引、振込、郵便為替、配達日指定、ラッピング等の料金自動加算機能やサービス機能のご希望欄以外に熨斗(のし)やメッセージなどの入力機能も必要です。- 受注確認の自動返信メールの設定
お客様の注文メール受信後には、その内容を自動的にお客様へ返信する受注確認メールが必要です。この機能により、お客様は注文メールがお店に届いたことが直ぐ確認できるので、安心することができます。- 商品の設定登録点数
買物かごに登録できる商品点数は制限があるのが一般的です。- SSLの設定
URLの先頭が「https://」であるSSLも絶対安全ではありませんが、ネット通販では不可欠の機能であり、少なくとも情報漏洩に対しては、最善の対応をしている姿勢を示すことができます。SSLの利用はドメインの証明を行うための電子証明書をインストールする必要があります。証明書は認証局の信頼性に依存し、日本ジオトラストや日本ベリサインなどが発行していますが、SSLの認証は共用認証と独自認証とがあり、独自認証は発行先のURLとお店のURLが一致するので、サイトの身元が分りやすくなります。
例えば、共用認証が無料のロリポップ!は月額2,200円でGlobalSign社のクイック認証SSLを利用した独自認証を提供しています。
お客様の注文送信画面からサーバー間はSSLでもサーバーからお店の間は暗号化されておらず、注文確認をお客様に自動返信メールで送信する場合も暗号化されません。自動返信メールにお客様のクレジット番号を記載すると、SSLの意味がなくなります。SSLは企業の存在までも証明するわけではありません。
企業の実在性をより高い精度で認証するEVSSL証明書の導入サイトにIE7.0以上で接続した場合はアドレスバーの表示背景色が緑色で表示され、サイト運営主体の組織名とEVSSL証明書を発行した認証局名を確認できます。- 3Dセキュア
クレジットカード情報の盗用による「なりすまし」の不正利用を未然防止する3Dセキュアはネット上でのカード決済をより安全に行うための本人認証の仕組みで「VISA」、「JCB」、「MasterCard」などのカード会社が採用する世界標準の本人認証方法です。
入力フォームはネットショップでの注文や会員登録、ウェブアンケート調査などで一般的に利用されますが、入力方法が分かりづらい、入力項目が多過ぎるなどの理由でストレスを感じ、途中離脱するユーザが一定割合で発生します。
これらの改善手法にフォーム項目の入力率やエラー率、遷移率などを分析し、フォームのどの部分にどのような問題があるかを調査するEFOがあります。
EFOの解析ツールはヒートマップ解析でサイト内行動を視覚化するSiTestやformrunなどを利用し、入力項目の配置や注意書きなどの改善ができれば、発注や登録の意思があるユーザが離脱するなどの機会損失を大幅に減らし、コンバージョン率の改善とログ解析での改善効果が確認できます。
- フォームを1ページにまとめるか、分割する
- 複数ページの場合は現在ページとの位置関係を明示する
- メール認証の有無
- フォーム入力部品の選択(ラジオボタン、チェックボックス、リストボックスなど)
- フォームの入力項目数
- フォームのレイアウトと配置
- 文字数と文字サイズ
- 住所自動入力ツールの有無(郵便番号で住所入力の省力化と入力ミスを防止する)
- 入力モードの規制(住所氏名は全角、数字は全角英数、電話番号のハイフン要否など)
- 入力項目の必要性と必須項目数
- エラー画面や文言のわかりやすさ
- 画像認証ツールの有無(人が直接入力操作していることを確認する)
- フォーム入力画面にある無関係のページリンクの有無
- 入力フォームの文字サイズ
- 入力例示の有無
- フォーム入力の事前説明の文章
メールでの注文や質問に迅速的確な返答ができるようメルアドを複数用意する
例えば宛先のメルアドにowner・master・order・inquiry・claimなどを用意し、担当者を定めます。営業時間内の返答や即答ができない場合は少なくともその旨を1時間以内に返信することが大切です。
ただし、これらのメルアドは分かりやすい反面、ネット上から容易に収集されやすく、スパムメールが増大しますので、事前の対策が必要です。独自ドメインを取得する
覚えやすいドメイン名の取得で知名度と信用度のアップが期待できます。ただし、いくら短く、覚えやすくてもアドレスバーに直接URLを打ち込むお客様はいないのです。
検索エンジンで探すのが一般的であるため、実店舗同様にお店の名前覚えてもらうことも重要です。とにかく、お気に入りに登録して頂くことがポイントです。ページ内容を定期的に更新する
サイト内容が更新されないと商品が売れていないのか、実際に営業しているのだろうかと不安になるものです。活気あるお店で、売れている商品を安心して購入したいと思う気持ちは実店舗の場合と全く同様です。
そのため、商品紹介の他に季節やイベントの飾りなどに相当するデザイン更新で常に賑わいを演出します。この結果、更に検索エンジンロボットの巡回頻度が高まる副次作用が期待できます。なお、大幅な文章変更を頻繁にすることは逆効果になります。
ネット通販は独自性や個性などの訴求力を高めることが重視されます。特に知名度のないお店は商品名の検索から選抜されることが重要で、お客様のご都合や売上に囚われ、ルールを定めない取扱い商品の拡大はお店の個性を薄めることになります。
一定のルールに基づく、取扱い商品の取捨選択は結果的に商品選択の利便性や購買率のアップに寄与しますので、事前のデータ分析や業界ニュースの収集を行い、売れ筋商品の吟味や観察が不可欠です。ネットショップの繁盛店は得意な商品の分野と特異なお店の個性を両輪にしています。
- 実店舗ではなかなか手に入りにくい良質な商品を扱う
- 鮮明な画像をイメージの分かりやすい角度や使用状況など数枚以上掲載する
- 女性客を対象とする商品は視覚に訴求する画像やキャチコピーを少し多めに掲載する
- 商品や自店のこだわりや特徴を説明し、他店と違いがわかる(職人醤油.com)
- 商品説明の文章が読みやすく、且つ、お客様目線で知りたいことを記載する
- ネガティブ情報を開示する(欠品や値上げ、品質低下の理由や苦情対応の経緯)
- メールマガジンを発行し、発行時には必ず反響がある
- 売れ筋商品のランキングを掲載する
- 顧客の購買情報を分析し、興味を引く情報を提供できる(リコメンデーション)
- 送料が無料又は少額である(一定額以上合は送料無料、全国均一送料など)
- 翌日配達が可能なサービスを提供する
- 独自のポイント制度などを採用する(リピート購入にお買い得感がある)
- お店に存在感がある(催事やサイト更新、電話やFAXの番号、店舗地図の表示)
- お店に親近感がある(自己紹介や顔出し、好奇心の湧く情報で店長自身をブランド化)
- 顧客情報の取扱い方(ウェブと切断した別PCやメモリーで保存、情報削除など)
- 掲示板の書き込みに対し、素早く的確に対応する文章を書き込む
- 質問やクレームメールに対し、迅速に応対する
- 定期的なSEO対策を実施する
- アクセス解析で来訪者の少ないページは入れ替え、ページ数をむやみに増やさない
- 1サイト1品目とし、品目を増やす場合は別サイトを立ち上げ、経営資源を集中する
これらの全てを満たしているお店があるわけではありませんが、少なくともいくつかを徹底的に実践するところが繁盛店になります。楽天市場やYahoo!ショッピングの売れ筋ランキングはどんな商品をどんな人が買って、どんな感想を抱いているかを分野別にランキングしています。