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健康増進法第31条に基づく、栄養表示基準制度は販売に供する食品について、栄養成分の量や熱量等の表示をする場合に適用される基準で、容器包装及び添付文書に栄養表示をする場合や栄養成分の総称等の表示を行う場合に栄養表示基準に従った表示をしなければならないとされています。
この制度は国民の栄養摂取の状況からみて、重要な栄養成分・熱量についても表示が義務づけられるほか、その表示が一定の栄養成分・熱量についての強調表示である場合には、含有量が一定の基準を満たすことを義務づけた制度です。適用範囲
生鮮食品は栄養表示基準の適用外ですが、例外として鶏卵のみ対象となります。また、食品そのものに含まれる栄養成分について栄養表示を行う場合も栄養表示基準の対象となります。
- 対象となる食品
- 販売に供する食品に日本語で栄養表示しようとするもの
- 輸入した食品に日本語で栄養表示をして販売するもの
- 対象となる表示媒体
販売される製品の容器包装及びその製品に添付する文書
- 栄養表示基準の適用対象とはならないもの
- 原材料名としての栄養成分名のみの表示
- 「ミネラルウォーター」のように品名の中に一般名称として、栄養成分名のみが表示される表示
- 他の法律により義務付けられた栄養成分名の表示
- 法農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)に基づく表示
- 「うす塩味」、「甘さひかえめ」など味覚に関する表示
「甘さひかえめ」、「うす塩味」などの味覚に関する表示は栄養表示基準の対象となりませんが、「あま塩」、「うす塩」、「あさ塩」などの表示は栄養表示として対象となります。
- 店頭等で表示されるポップやポスター等、製品の容器包装及び添付文書以外に栄養表示する場合
- 営業者が使用するいわゆる業務用のもの(ただし、消費者が直接その表示を見る機会のある場合は対象となる。)
栄養表示基準が適用となる栄養成分等
- 健康増進法第31条第1項で規定する栄養成分及び熱量
- 熱量(エネルギー)、たんぱく質、脂質及び炭水化物
- ミネラル(亜鉛、カリウム、カルシウム、クロム、セレン、鉄、銅、ナトリウム、マグネシウム、マンガン、ヨウ素及びリン)
- ビタミン(ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB 1、ビタミンB 2、ビタミンB 6、ビタミンB 12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK及び葉酸)
強調表示の基準が定められている飽和脂肪酸、コレステロール、糖類及びショ糖、並びにビタミンAと同様の機能表示が認められるβ-カロテンについては、表示栄養成分量の記載を必要とする成分として取扱われます。
また、定められた栄養成分以外の成分の表示は科学的根拠に基づいたものである限り、販売者の責任において任意に行われるべきものとして取扱われ、表示する際は栄養成分表示の枠外に記載するか、線などで区切り、栄養成分とは異なることが理解できるように表示する必要があります。
一方、大手メーカーA社の食用油の栄養成分表示に「エネルギー」、「脂質」、「リノール酸」に加え、わざわざ「コレストロール 0」と表示しています。
コレステロールは動物の脂に含まれる成分であり、植物油は本来、コレステロールが含まれておらず、むしろ植物油に多く含まれるリノール酸は血液中のコレステロールを下げる働きがあるとされています。
このように、含まれるはずのないコレストロールを0と表示することで、逆に表示のない競合社は0ではないと思わせ、コレストロールを気にする消費者に訴求する宣伝効果を期待しています。
油脂とコレストロールを混同する消費者を啓発することが目的であると反論されることもありますが、実際よりも健康維持に著しく効果があるように思わせる表示は虚偽でない限り、優良誤認の不当表示とならず、「0の効果」としてドレッシングや飲料、食品のマーケティングの一環として利用されています。
0(ゼロ)表示の基準は「表示単位・分析方法・誤差範囲・0(ゼロ)と表示できる基準表」に基づきます。
なお、含有量の表示は必ず分析しなければならないものではなく、五訂増補食品成分表などを用いて得られた計算上の値を記載してもよく、結果として表示された含有量が正確な値であれば不適正な表示になりませんが、実際に分析して得られた値と表示している含有量との誤差が許容範囲を超える場合、若しくは下限値及び上限値の幅を超えていた場合は不適正な表示となります。- 栄養表示基準が適用される栄養表示
健康増進法第31条第1項で規定する栄養成分及び熱量、強調表示の基準に規定される栄養成分及び熱量をそのまま表示する場合や下記の表現も栄養表示基準が適用されます。したがって、これらを表示する場合は一般表示事項の記載が必要になりますが、この内、健康増進法第31条第1項で規定する栄養成分及び熱量に規定される栄養成分以外の成分については含有量の表示は必須ではありません。
- ビタミン、ミネラル等の総称
- プロテイン、ファット等の別名称
- 脂質における
不飽和脂肪酸、炭水化物における 食物繊維等、その種類である栄養成分 - たんぱく質におけるアミノ酸等、その構成成分
- ビタミンAにおけるβ-カロテン等の前駆体
- その他これらを示唆する一切の表現(果実繊維、カルシウムイオン、シュガーレス、ノンオイル、DHA、コレステロール、オリゴ糖、糖アルコール、低塩、食塩無添加等)などの表示
栄養成分の表示義務
- 表示場所
容器包装の見やすい場所又はその食品に添付する文書。なお、添付文書に記載する場合以外は開かなくても容易に見ることができる場所に読みやすく表示する。
- 表示の項目と順番
- 熱量
- たんぱく質
- 脂質
- 炭水化物
炭水化物に代えて、糖質及び食物繊維をもって表示することができる。
- 食塩相当量
熱量から食塩相当量までは、栄養表示する場合に表示しなくてはならない必須の基本的項目で、この順番で表示することが定められている。
- 栄養表示しようとするその他の栄養成分
栄養表示するその他の栄養成分は食塩相当量の後に表示する。なお、含有量が0の場合でも、記載すべき表示項目の省略はできない。
- 表示方法
- 販売される状態における可食部分の100g、100ml、1 食分又は1 包装等の1 食品単位当たりの表示栄養成分の含有量について表示する。
また、食品単位を1 食分と表示する場合はその量(g、ml 又は個数等)を併せて記載する。この場合の1 食分の量は1 回に摂取する量として営業者等が定めた量とする。
- 一般の消費者がわかりやすい日本語で読みやすく、理解しやすい用語により正確に記載する。
なお、表示に用いる栄養成分等の名称は下記のように表示することもできる。
・熱量→ エネルギー
・たんぱく質→ 蛋白質、たん白質、タンパク質、たんぱく、タンパク
・カルシウム→ Ca
・鉄→ Fe
・ビタミンA → VA(その他のビタミンも同様)- 表示単位等
別途に定める「表示単位・分析方法・誤差範囲・0(ゼロ)と表示できる基準のとおり
- 栄養成分等の含有量は一定値又は下限値及び上限値で表示する。「微量」などの言葉や、割合(%)での表示はできない。
- 表示単位が定められているものはその単位で表示する。
- 表示量の誤差の許容範囲
別途に定める「表示単位・分析方法・誤差範囲・0(ゼロ)と表示できる基準のとおり
材料のバラツキや経時変化等を考慮し、消費期限又は賞味期限の期間中、一定値をもって表示されている場合は定められた分析方法による分析値が誤差の許容範囲内にあること。
また、下限値及び上限値で表示されている場合は、分析値がその範囲内であること。- 表示する際の字の大きさ
表示事項は、原則として8 ポイント以上の活字で記載する。ただし、容器包装又は包装の表示面積が150平方cm以下の場合は5.5 ポイント以上の活字で記載できる。
- 数値の丸め方
含有量の有効数字や数値の丸め方については、とくに基準はない。
- 0(ゼロ)と表示できる基準
別途に定める「表示単位・分析方法・誤差範囲・0(ゼロ)と表示できる基準のとおり
- 基準が定められている栄養成分等については、食品100g 当たり(一般に飲用に供する液状の食品は100ml当たり)、該当する栄養成分等の量が「0(ゼロ)と表示できる基準値」以下の場合は0(ゼロ)と表示できる。
- 含有量が0(ゼロ)であっても表示項目の省略は不可ですが、複数の表示項目が0(ゼロ)である場合は「たんぱく質とナトリウムが0(ゼロ)」のように一括表示ができる。
栄養表示基準に従った表示をしていない場合
消費者庁長官は栄養表示基準に従い必要な表示をすべき旨の勧告し、正当な理由なく、勧告に係る措置をとらなかった場合、その者に対しその勧告に係る措置をとるべき旨の命令します。命令に従わなかった場合、罰則を適用し、50万円以下の罰金が課せられます。