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内容証明の支払請求に相手が応じない場合、裁判所から相手に支払うよう請求する支払督促があります。正式な裁判がなくても裁判所が一方的に債務者へ金銭などの支払を命じる督促状を送付する方法です。
この制度は民事訴訟法382条で定められており、利用度の高い債権回収法として広く知られています。申立ては金銭の額と関係なく簡易裁判所で審査します。利用に適する場合は次のとおりです。
- 債務者との間で債務の存在や金額に争いはないが、なかなか支払ってくれない場合
- 債務者が裁判までする覚悟はなさそうな場合
- 申立人に明確な証拠があるなど、勝算がある場合
どのような場合でも通常訴訟に移行する可能性はあります。それを承知で利用する覚悟が必要ですが、債務者が異議申立を行う可能性が高い場合、最初から直接訴訟をした方がよい場合もあります。
効果
裁判所の書記官から支払督促状が送付されるので、内容証明郵便では効果のない相手方に対し、大きい心理的なプレッシャーを与えることができ、支払いに応じさせる可能性を高めることができる
督促状を無視された2週間経過後は30日以内に債務者財産を強制執行できます。申立て後は請求についての時効が中断する効力が発生します。
制度利用の留意点
- 簡単
通常の裁判とは異なり、申立人の申立書を受理した裁判所は書面審査のみを行う申立書に問題なければ債務者に支払督促を送付するので、裁判所に出頭する必要がなく、少額訴訟制度のような請求金額や回数に制限はありません。- 迅速
債務者を呼び出して事情を聞いたり、証拠調べなどは一切なく、非常に処理が迅速なので、債務者の異議がなければ、早くて1ヶ月半位で強制執行手続きされます。- 安価
手数料の印紙代は通常の裁判訴訟や少額訴訟の半額です。例えば、訴訟の目的物の価額請求額が10万円未満の場合は500円になります。10万以上以上20万円未満の請求は通常訴訟が2,000円であるのに対し、支払督促は1,000円です。この他にも支払督促状を相手方に送るため、切手などの郵送料を予納する必要があります。
- 制度の欠点
- 金銭の支払請求などにしか利用できない
- 債務者住所の管轄簡易裁判所に申立てする必要がある(申立ては郵送可能)
- 債務者の異議申立ては通常訴訟に移行するので、債務者住所地の裁判所に行く必要がある
- 債務者の住所が不明の場合、この制度は利用できない
支払督促制度の手続き
- 相手住所地の簡易裁判所書記官に支払督促の申立をする
- 裁判所から債務者へ支払督促が送達される
2週間以内に異議申立があれば通常訴訟へ移行します。この場合、支払督促正本に添付されている督促異議申立書を作成して簡易裁判所に提出します。- 30日以内に仮執行宣言申立書を提出する
- 仮執行宣言付支払督促が送達される
2週間以内に異議申立があれば通常訴訟へ移行します。- 強制執行手続(差押えなど)ができる
確定判決と同一の効力があります。債務者が強制執行を停止するには、裁判所に執行停止の申立てをし、更に保証金を供託した上で執行停止の決定を得る必要があります。
支払督促手続オンラインシステム
この制度の利用は支払督促申立書の作成や裁判所の窓口に手数料と一緒に提出する必要があります。督促手続オンラインシステムを利用し、表示ガイダンスに従い申立てに必要な項目を入力すると、特別な知識や経験がなくても申立書を作成できます。
- システムの利用で事業所から24時間、簡単に支払督促申立てができる
手数料や保管金はネットバンキング又はATMで納付します。また、債務者に対する正本などの送達は郵送で行われます。- 手続きの進行状況はシステムにアクセスするだけで随時確認できる
- インターネットでの通知に同意した場合、これを通じて裁判所の通知や告知が受け取れる
このシステムの利用者は債務者の住所が東京都内、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県、静岡県、山梨県、長野県、新潟県内及び大阪府内に限ります。利用は電子認証による手続のため住民基本台帳カードなどの取得が必要です。
ネットショップの通常取引に伴う未収金は少額であることから泣き寝入りのケースが大部分を占めます。これは裁判所に提訴すると判決確定までの時間や費用、精神的な負担が大きいことが主な理由です。そのため、本人訴訟と呼ばれる簡単、低廉、迅速な少額訴訟の利用をお奨めします。
制度の内容
- 請求しようとする金額が60万円以下の場合に限られる
- 請求上限金額の60万円とは別に遅延損害金を請求できる
- 利用するのに相手方の事前同意は不要である
- 訴訟の対象が金銭の支払を求める訴訟に限られる
請求金額が60万円以上であっても金額を分け、複数回の少額訴訟もできます。その場合、今回の請求は○万円の内の○万円であるということを明記しておきます。- 訴訟は同一簡易裁判所で年間10回の利用が限度である
この利用回数は毎回届けることになっており、虚偽申告をすると罰金があります。審理は1回で即日判決
原則として1回2時間程度の審理で双方の口頭弁論を行い、その日に判決があります。通常の民事訴訟のように何度も審理が行われ、その都度裁判所に出頭する必要がありません。
証拠・証人は簡易なものに限定
証拠の書類や証人は原則として審理の日に、その場で確認できるような簡易なものに限定されます。証拠調べが複雑、証人が複数などの一日で審理終了が困難な場合は通常訴訟に移行する場合があります。
制度の効果
判決で原告の訴えが認められた場合は必ず仮執行宣言が付き、被告に支払義務が確定します。これに従わない場合は判決内容の強制執行が可能です。この程度の金額なら泣き寝入りするだろうと甘く見ている相手方に対し、非常に効果的です。
裁判所から訴状が届いただけでも相手方は心理的な圧力を受け、実際に訴状が届いただけで、審理当日を前に和解で解決する場合が多いようです。相手方が正当な理由なく、審理を欠席した場合は原告の不戦勝です。制度の利点
- 簡単 訴状は簡易裁判所備付けの定型訴状用紙に記入するだけです。
- 迅速 手続は1日で終了し、判決に仮執行宣言が付き、すぐ強制執行できます。
- 低廉 印紙代500円~3,000円+切手代程度で訴訟費用が安くなります。
少額訴訟の審理方法
円形テーブルを囲み裁判官、原告、被告などの当事者全員で審理するので、安心して話すことができます。
少額訴訟の欠点
- 相手方の所在が不明の場合は訴訟ができません。
- 不服は上級の地方裁判所に控訴できません。判決簡易裁判所に異議申立てができます。
- 相手方が通常の民事訴訟に移行するよう求めた場合、少額訴訟はできません。
- 経費を負けた相手側に請求することはできません。
- 金銭の請求以外には利用できません。
- 相手方の経済事情で支払猶予や3年以内の分割払、遅延損害金の免除などがあります。
訴状を提出できる簡易裁判所
- 被告(請求の相手先)の住所地を管轄する簡易裁判所
金銭請求は原告の住所地を管轄する簡易裁判所で可能です。- 債権の義務履行地の簡易裁判所(支払が行われるべき所)
- 不法行為のあった場所の簡易裁判所(交通事故など)
- 簡易裁判所の訴状用紙へ雛型を参考に事項を記入し、簡易裁判所に提出します。
- 裁判所は口頭弁論の期日を指定して通知します。
被告には、訴状の副本と一緒に少額訴訟の内容を説明した書面、答弁書、事情説明書などが同封されますので、答弁書に言い分を書いて反論することができます。- 当日は証拠や証人を提出し、自分の正当性を主張します。(最長90分程度)
裁判官が双方の主張を聞いて判決を言い渡し、異議申立がなければ確定します。証拠
- 証拠はあった方が良いのですが、なくても諦める必要はありません。
- 証拠は直ぐ取調べができるものに限られ、提出は原告となる自分が用意します。
- 証拠物は複写し、訴状と併せ事前提出するので、裁判所と被告用の2部必要です。
- 原本は審理当日に持参します。
売掛金は納品書・請求書・受領書・契約書・配達証明書の他、メールコピーなどの参考資料も用意します。証人は審理当日に簡易裁判所に出頭できる人に限られます。
訴訟額(請求額) 手数料 手数料の収入印紙は10万円毎の1,000円刻みです。法人の場合、別に商業登記簿の交付手数料が必要です。また、書類送付に必要な郵便切手代は高くても6千円位ですが、簡易裁判所により差があります。
広島簡易裁判所(広島市中区上八丁堀2番43号)
Tel:082-228-0421(代表)
広島バスセンターから徒歩約15分
広電の白島線縮景園前下車徒歩約5分
アストラムライン城北駅下車徒歩約10分1円~10万円 1,000円 10万円超~20万円 2,000円 20万円超~30万円 3,000円 30万円超~40万円 4,000円 40万円超~50万円 5,000円 50万円超~60万円 6,000円 司法書士の訴訟代理権が認められる簡易裁判所は民事に関する訴訟の目的物の価額が140万円を超えない請求事件の裁判権があります。これらの裁判は事前の手続や予約は一切不要ですので、一度は少額訴訟の傍聴をお奨めします。