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2019年1月1日以降に開始する個人事業者は前年1月1日~6月30日の6か月間である特定期間の合計課税売上高が1,000万円を超えると税務署に申告書を提出し、消費税の納付が必要です。
課税対象事業者
例えば、個人事業者を例にすると、2019年1月1日~同年12月31日に対する特定期間は前年の2018年1月1日~同年6月30日の間です。2018年の6か月間の課税売上が1,000万円以上の場合は事業者免税点制度が適用されず、申告納税の義務が生じる課税事業者に該当します。
そのため、例え平成26年分の課税売上が1,000万円以下の場合であっても申告納税が必要です。特定期間が免税事業者の場合は当期の課税売上高に対する消費税が課税されません。
1,000万円の判定は税抜処理を行わない税込売上高で判定し、非課税や不課税部分を控除します。法人の場合も同じく前期の事業期間が8か月以上ある場合は前事業年度開始の日から6か月間の課税売上で判断します。
なお、これらの判定は課税売上高に代えて支払給与の額で判定することもできますが、特定期間の給与等は賞与や役員報酬が含まれ、通勤手当や旅費等は含まれません。
資本金1,000万円以上の法人は設立1期及び2期も課税事業者になります。選択課税事業者
免税点以下の事業者も選択すると、課税事業者になることができます。この場合、課税事業者になろうとする課税期間前の課税期間中に所轄税務署へ届出書を提出します。この届出書を提出すると最低2年間は課税事業者を継続する必要があります。
課税取引
消費税が課税される要件は次の項目すべてに該当する取引です。
- 国内において行うものであること
- 事業者が事業として行うものであること
- 対価を得て行うものであること
- 資産の譲渡などであること
消費税法は家事消費を「事業として対価を得て行う資産の譲渡とみなす」と定めていますので、課税対象になります。また、事業用の固定資産等の全部又は一部を家庭用のみに使用したときも同様に取り扱われます。
ただし、例えば主に事業用に供する自動車を家事に利用する場合、事業用と家事用との使用部分を明確に区別できなければ、その利用は「使用」に該当しません。
なお、お店の商品を顧客に宣伝用として無料配布した場合は対価を得ているわけではなく、家事消費のような「みなし規定」もありませんので、課税対象になりません。不課税取引
消費税の課税対象要件に該当しない次のような取引事例です。
- 国外取引
- 事業として行われない取引で自宅や家庭で使用している家具等の売却など
- 反対給付としての対価性を有しない取引
非課税取引
消費税の性格上、課税対象に馴染み難く、社会政策上の配慮で課税すべきでないものに限定されています。
消費税の性格上に馴染み難いもの 社会政策上の配慮に基づくもの 土地の譲渡、貸付け等 社会保険医療や出産費用等 社債、株式等の譲渡、支払手段の譲渡等 介護保険サービス・社会福祉事業等 郵便切手、印紙等の譲渡 埋葬料・火葬料等 商品券、プリペイドカード等の譲渡 身体障がい者用物品の譲渡、貸付け等 住民票、戸籍抄本等の行政手数料等 一定の学校の授業料、入学金、入学検定料、施設設備費等 国際郵便為替、外国為替等 教科用図書の譲渡等 利子、保証料、保険料等 住宅家賃 免税取引
免税取引は事業者が輸出取引等として行う課税資産の譲渡等を指しますが、税率0%の課税取引とされ、基準期間の課税売上高は免税取引額を含めて計算します。
消費税の免税事業者は税込経理方式と定められています。しかし、課税事業者は税抜経理方式との選択制となっていますので、期中は税込経理であっても月末時や決算時に一括税抜き処理する簡便法が認められます。
処理方式 税込経理方式 税抜経理方式 経理処理 消費税額と取引の対価額を区分しないで経理する 消費税額と取引の対価額を区分して経理する 記帳処理 課税売上、課税仕入などに係る消費税の額をその売上額、仕入額などに含めて処理する 課税売上、課税仕入などに係る消費税の額を仮受消費税、仮払消費税として計上し、その売上額、仕入額などに含めないで処理する 納税処理 納付消費税は経費の租税公課に算入し、還付消費税は雑収入に算入する 消費税を仮受又は仮払処理してるので、損益は無関係 課税事業者や免税事業者になった場合の棚卸資産に係る消費税額等の調整
- 課税事業者が免税事業者になる場合
免税課税期間最後の売れ残り商品などに含まれる消費税額は課税事業者になってから控除できます- 課税事業者が翌期に免税となる場合
売れ残った商品などの消費税額は控除すべき仕入に係る消費税額から控除しなければなりません。つまり、その売れ残った商品などに係る消費税額は売上に係る消費税額から控除できないのです。これらは課税売上のみから計算する簡易課税事業者と関係はありません。
本則課税
課税売上に係る消費税額から課税仕入などに係る消費税額を差し引いて消費税を算出する課税方法です。税込経理方式の計算法は次のとおりです。酒類・外食を除く飲食料品は軽減税率8%の対象品目です。
100
■課税標準額=課税期間の課税売上高×───(1,000円未満切捨て)
110■課税標準額の消費税=課税標準額×7.8%
7.8
■仕入控除税額=課税期間の課税仕入高×───(1,000円未満切捨て)
108※国税分の消費税額=課税標準額の消費税-仕入控除税額(100円未満切捨て)
※地方消費税納付額=消費税納付額×22/78(100円未満切捨て)
以上の合計が納付すべき消費税額です。課税仕入高には、商品の仕入や課税取引となる経費、固定資産などの合計が含まれます。これらの計算は「仕入控除税額に関する明細書」の作成が便利です。簡易課税
課税売上に係る消費税額から業種別一定率を課税売上高に乗じて算出した消費税相当額を差引きますが、これは基準期間の課税売上高が5,000万円以下が要件です。
簡易課税で計算する期間が始まる日の前日までに所轄税務署へ届出書を提出する必要があります。ただし、一度選択すると2年間は取り止めできません。
仕入率/種別 第1種事業 第2種事業 第3種事業 第4種事業 第5種事業 第6種事業 業 種 卸売 小売・農林漁 製造・農林漁 その他 サービス 不動産 仕入率 90% 80% 70% 60% 50% 40% ■国税の消費税額は課税期間の課税売上高×7.8%-(課税期間の課税売上高×7.8%×業種別みなし仕入率)で地方税の消費税額は国税分の消費税額×22/78になります。
これらの合計が納付税額となりますが、端数処理は本則課税と同様に処理されます。
- 2種類以上の事業を営み課税売上高を事業の種類毎に区分していない場合
区分されない課税売上はその事業の内、事業の最低みなし仕入率を適用する。- 1種類の事業に係る課税売上高が全体の課税売上高の75%以上を占める場合
その75%以上を占める事業のみなし仕入率を課税売上高全体に適用する。従って、これらの区分処理はとても重要です。
消費税の確定申告で課税期間分の消費税が確定しますが、提出期限は原則として事業年度末日の翌日から2ヶ月以内になっています。
中間申告とは、確定申告前に予め一定額の申告と納税をすることです。この中間申告は前課税期間の確定消費税額によって申告の回数が異なります。
確定消費税 48万超400万円円以下 400万超4,800万円以下 4,800万円超 納付回数 任意の年1回 年3回 年11回 納付税額 確定消費税額×1/2 確定消費税額×1/4 確定消費税額×1/12 実際は国税分の納付税額の22/78分に相当する地方消費税と合わせて納付します。消費税のあらましは申告書や添付書類の様式、申告書の作成に便利な各種計算表なども掲載されています。
また、、中小企業庁は円滑な消費税の税率アップ転嫁を目的としたパンフレットを作成し、中小企業・小規模事業者のための消費税の手引きを公表しています。
総額表示義務の特例として、2021年3月31日までは、表示価格が消費税相当額を含んだ税込価格であると誤認されない限り、税込価格での表示は必須ではありませんでしたが、2021年4月1日から消費者に対して商品販売、サービスの提供などの取引を行う際に、その取引価格を表示する場合は消費税相当額を含む価格表示が義務付けられました。従来の価格表示は商品やサービス、事業者によって多様な方法がありましたが、今後は税込価格での明示が必須となりました。