キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書は期首の貸借対照表に表示された現金及び現金同等物が当該期間中、どのような資金の流入及び流出があって期末の残高になったかを簡潔明瞭に開示する財務諸表のひとつです。
一方、資金繰表は企業の数ヶ月先までの具体的な売上予測と将来的な事業計画及び投資計画のための資金調達計画により作成され、企業が任意に設定する期間単位で作成されます。
非上場企業は金融商品取引法に基づくキャッシュフロー計算書の作成義務はありませんが、金融機関は企業の返済能力や資金の調達能力、資金調達の必要性、財務に対する経営姿勢を判断できる資料として重視します。
この計算書の営業活動による区分欄の表示は直接法と間接法とがあります。どちらも区分小計は一致し、実務で圧倒的に選択されるのは間接法です。なお、直接法の投資活動及び財務活動によるキャッシュフローは間接法と同形式で表示されます。

  • 直接法
    直接法は資金繰表に類似し、営業収入、原材料又は商品の仕入支出、人件費支出、その他の営業支出を表示します。この方法は理解しやすい反面、現金勘定の再分類に手間を要します。貸借対照表と損益計算書で調整される簡便な方法もあります。
  • 間接法
    間接法は税引前当期利益から始まり、貸借対照表と損益計算書で調整されるため、直接法に比べ作成が容易である反面、営業支出の内訳が分らない欠点があります。

2期分の決算書を入力すれば、特別な知識が不要で自動的にキャッシュ・フロー計算書を作成できる便利なツールを活用し、融資や経営改善に役立てることができます。
この自動作成ツールは中小企業の会計31問31答ツール集からダウンロードできます。代表的な経営指標も自動算出できるので、表示項目や百万単位を千円単位に変更するなど自社に合った変更をお薦めします。デザインや配色は固定され、シートの保護解除はできませんが、印刷出力すると見映えは良くなります。
販売費及び一般管理費の減価償却費だけでなく、別途作成の製造原価報告書などに計上されている金額も全て合計した数値を入力しますので、製造業や建設業などにも対応しています。
業種別の代表的な経営指標も表示できる改良版のキャッシュ・フロー計算書の簡易作成ツール概算予算計画の作成ツールを公開しますので、実態に合う項目をご自由に加工のうえ、ご利用下さい。

キャッシュフロー計算書の簡単な見方

キャシュの意味

  • 現金及び要求払預金(当座預金、普通預金、通知預金など)
  • 換金が容易であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない短期投資である満期日又は償還日までの期間が3ヶ月以内の定期預金、譲渡性預金、コマーシャルペーパー、売り戻し条件付現先、公社債投信などを指します。

キャシュフローの意味

事業活動に伴う取引はすべて入金、出金のいずれかに区分されますが、キャッシュフローはキャッシュインフローからキャシュアウトフローを差し引いたものを言います。

  • キャッシュインフローの要因例
    1.売掛金が減少する回収はインになります。
    2.買掛金が増加する仕入はインになります。
    3.棚卸資産の減少はインになります。
  • キャシュアウトフローの要因例
    1.売掛金が増加する売上はアウトになります。
    2.買掛金が減少する支払いはアウトになります。
    3.棚卸資産の増加はアウトになります。
    4.販売費及び一般管理費の支払いはアウトになります。
  • 営業活動によるキャッシュフロー
    1.事業活動からの現金獲得を示します。
    2.合計額は+の数値になります。
    3.この数値が多いほど運転資金に余裕があるといえます。
    4.-の場合は運転資金の不足を意味します。そのため、投資や財務活動の資金調達がなければ、資金ショートに直結します。
  • 投資活動によるキャッシュフロー
    1.設備投資、企業買収、有価証券投資などの出入りを示すものですが、通常は設備などの先行投資による資金支出が不可欠なのでマイナスになります。
    2.+は現金増加の売却を表し、-は購入が多かったことを表します。
    3.営業活動によるキャッシュフローの+の範囲内であれば健全な成長が期待できます。
  • 財務活動によるキャッシュフロー
    1.借入金の調達と返済、社債発行の償還、増資と減資、配当金の支払いを示します。
    2.+は現金が増加する借入金の調達を示し、-は返済を表します。つまり、-は借入金より返済金が上回っていることを意味し、財務基盤が強化されます。

フリーキャシュフローの重要性

フリーキャッシュフローとは、その企業が本来の事業活動によって生み出されるキャッシュフローのことを言い、融資の審査に利用される指標としても知られています。
これを原資として、経営者の判断で債権者に金利を支払ったり、借入債務の償還や株主の配当金、設備投資などに充当します。

  • フリーキャッシュフロー=営業キャッシュフロー+投資キャシュフロー
  • キャシュフローマージン(%)=営業キャッシュフロー÷売上×100

通常は営業活動によるキャッシュフローが+、投資活動によるキャシュフローが-となるので、フリーキャッシュフロー=|営業キャッシュフロー||投資キャシュフロー|とするのが理解しやすいようです。
キャッシュフロー計算書は損益計算書や貸借対照表以上にその会社のお金に対する運用姿勢を示すもので、将来の利益獲得を戦略的に考える成長企業ほど、「お金の節約」ではなく「お金の使い道」に積極的であると言うことです。
このようにお金を持っているだけでは利益は生まれず、コスト削減だけでも将来のビジネスチャンスを掴むことはできません。特に設備投資が重視される製造業では、注目される指標のひとつです。

営業キャッシュフローの改善方法

  1. 販売管理費の節減
    競争力の強化に事業活動と費用支出の効率化が不可欠です。経費の見直しでムダを発見し、更に固定費の削減に努力する必要があります。
  2. 在庫の圧縮
    一般に売上の増加は在庫を増加させる傾向があります。在庫は無利子で資金を寝かせているどころか価値の劣化リスクを抱えることになりますので、適正な管理が必要です。
  3. 売掛金の早期回収
    売上は代金決済されて確定するものと認識し、売掛金の増減に配慮する必要がありますので、注文品も締日を意識した納品日に留意します。
  4. 支払い金のチェック
    特に利益を大きく左右する仕入商品の値動き、仕入先の動向や業界情報などに日常的な留意が必要です。相見積を取ることで長年の付き合いを見直す場合もあります。

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