ネット通販の経営

企業と消費者間の企業と消費者間の電子商取引に介在するネットショップの運営は実店舗同様の知識が必要です。儲かる話は理論的に可能ですが、偶然以外の永続的な儲け話はありません。
起業を支援する国や地方自治体の中小企業施策は中小規模企業を想定したメニューが多く、経営資源が脆弱で家業的な小企業は生業であるが故に経営者の個人能力に左右され、合理的な判断より感情的な判断に傾きやすく、施策の知識や活用能力に欠けるのが実情です。
ネット通販は販売地域を全国規模へと拡大し、在庫、広告宣伝、物流の各コストを効率的に低減できるシステムであるとともに、生活様式、年齢、趣味嗜好、所得などの切り口から顧客層を多面的に差別化し、或いは集約化することで、目標とする対象顧客層を絞り込むツールとして利用することが重要です。
従って、単に価格競争の手段として利用するのではなく、アクセス解析ツールやアンケート、SNSなどでの評価をクロス分析し、対象とする顧客層の探索やリピータ化に傾注することで、膨大な競合店との差別化を図り、競争ではなく棲み分けできるかがポイントになります。
事前の準備に加え、プライバシーの露出を許容する覚悟と被雇用者から雇用者側へ転換する意識改革の継続的な努力が不可欠です。”成功体験は慢心と油断を育てる”とも言われ、過去や人の成功体験に固執すると思考力が低下しますので、この言葉を肝に銘ずることが大切です。
ネットショップの開業や経営に関する情報をネット上から収集する場合、ネット通販業界の専門週刊新聞の日本ネット経済新聞などが実務に役立ちます。
一方、検索サイトやブログのRSSリーダーを利用した一般的な方法に加え、ツイッターやフェイスブックなどのSNSを利用するなど、多様な方法もありますが、時間的な制約から日々増大する最新情報のチェックには無理があります。このような場合は文字情報の意味や関連性を解析し、内容を解釈する技術を利用した無料サービスのGunosyの活用をお奨めします。このサービスに登録すると自分の興味ある記事を学習し、自分好みの内容が掲載された記事を自動的に一覧表示することができます。
他方でウェブ上から手軽るに入手できる断片的な専門知識の大衆化は利用者にリテラシーが不足する場合、誤用や誤解を生ずることがあります。専門知識は関連知識に加え実考力と併せてこそ活用できるものです。
専門知識は部分的に読んで理解できるものではなく、全部又は一部を間違って理解することもあり、過信は禁物です。机上の空論ではなく、本当に理解できたかどうかは後日になって実感することもあります。

消費財の市場動向のポイント

  • 市場は成熟し、モノあまりのデフレ環境である
  • 消費者の嗜好や価値観、生活様式、時間の使い方が多様化している
  • 少子高齢化の進展で単位当たりの消費量が減少しているが、市場規模は拡大の方向にある
  • 高齢化社会の進展により、2020年の世帯主が65歳以上の世帯が全都道府県で30%を超える。
  • 少量多品種の商品開発が求められ、しかも流行サイクルが早まっている
  • 興味ある商品の知識や価格はネットで検索する傾向が強まっている

開業の実態

日本政策金融公庫の新規開業実態調査によると公庫融資を受けた新規開業後3年目の年末までの存続率は約90%前後で推移しており、この3年目以内での廃業が特に多いことから、存続の関門となるようです。
また、地方における新規開業の特徴によれば、地域に関係した理由で事業を選択する割合が約40%であり、出身地や家族との関係を重視する傾向が大都市圏に比べ高く、成長性はやや低いものの地域の雇用創出に一定の役割を果たしています。20~30歳代の起業も増加しており、資金力よりアイデアや独創性が生かしやすいサービス分野の多様化に対応できる行動力が源泉となるケースが多く、収益力も高い傾向にあるようです。
一方、自己資金の準備に苦労するケースも多く、金融機関からの借入依存割合が70%近くを占める反面、開業費用自体も500万円以下が44%を占めるなど開業費用は少額化の傾向がみられます。事業以外の収入がある開業者は約40%もあり、競争は一層厳しく、どの分野でどう起業するかが成功を左右します。
例え、ネット通販であっても漫然と全国の消費者を対象とするのではなく、商材によっては圧倒的にアクセスの多い大都市の消費者から更に客層を絞り、リピート客の増加を目指す方法も考えられます。
開業の高齢化は企業のリストラや倒産、廃業などによる離職者のリストラ型の新規開業が昭和22~24年生の団塊世代の影響もあって50歳代以上が約25%を占めます。
リストラ型の50代は「人脈や取引先のネットワーク」や「製品・サービスの知識」を活用する割合が高い反面、老後や住宅ローンなどの負担が重く、安全志向が強いため、事業の拡大意欲はやや低い傾向があります。
また、年々増加する約21%を占める女性の開業者は一般的に企業の中枢業務に携わる機会が少なく、経営全般の知識や管理能力に乏しい点や少人数で気の合う仲間と末永く、仕事と家庭とのバランスを考えて働きたい気持ちが強く、次のような特徴があります。

  1. 開業当初から人を極力雇用しない
  2. 冒険的な事業の拡大や利益追求はしない
  3. 融資返済の遅延や猶予などの事故が少なく、倒産も少ない
  4. 自分の感性や直感に自信を持ち、人の意見を聴かない傾向がある
  5. 業種は女性を対象とする日常的な商品やサービスを扱う分野が多い
  6. 利益よりも仕事を通じて人に喜んでもらうこと自体に満足感がある

起業成功の必須要素

人的三要素

  1. 人柄 経営者の信用、資質、能力、経験、意欲
  2. 人脈 経営者の人的ネットワーク、コネクション
  3. 人材 経営者の右腕となる人や技能的又は知的ノウハウを持つ人財の確保

ヒト、モノ、カネ、情報などの経営資源や経験、知識、人脈などの属人的資源は人それぞれ異なり、人に個性があるように、お店にも個性があります。
従って、他店の表面的なやり方を取り入れても思ったほどの成果は出ないものですが、一方で開業業種が未経験でも新事業に積極的な企業は少なくありません。

  • 事業アイデアを獲得し、既存事業に囚われない新規性を創出する企業が多い
  • 経験のある企業に比べ開業当初は劣るが、3年以上の業歴経過後に遜色はない
  • 趣味や社会貢献等に生甲斐を求め、自己実現型の開業をしている中高年者も多い

商いの難しさは、経営資源を有力視したり、成長業種が有望だと一概に断定できないことですが、統計的に現在の事業に関連する仕事の経験年数が長く、開業時年齢の低いほど存続率が高いようです。
また、最も大変だった時期を「開業後6ヶ月以内」とする企業割合が31.7%と最も多く、これに「7~12ヶ月目」を合わせた「1年目」の割合が42.9%となっているのは、資金繰りや顧客開拓などのマーケティングがうまくいっていないのが主因のようです。
このような課題に対しては、「個人的な友人・知人・取引先などに紹介を依頼」したり、「自社のホームページの充実」などに取り組んでいるのが実情です。
一方、継続こそが重要であり、短期間で費用対効果を求めるべきでないとする考え方もあります。固執し過ぎて引き際を誤る起業家が多いのも事実ですが、心底から実現したい夢があれば、自身のストレスや逆境をモチベーションの向上に転換できるのです。難易度が高い目標になるほど、達成後の爽快感は格別なものとなり、これがモチベーションの原動力となるからです。
真の起業家とは、提案型営業活動から一歩踏み込み、個別対応の問題解決型営業活動を実施するため、取引先との関係強化を通じ、取引先が抱える課題や問題点を解決する策を提示し、これらを実現するべく商品やサービス、ツールなどを最適に組み合わせた営業活動を創造できる社会的な使命感の強い情熱家だと思います。
現役時代のスキル・経験は高度な趣味レベルと同様に退職後の起業や再就職に思わぬ形で役立つ機会に出会えることもあります。例え、日常的な業務であっても遂行時間やコスト低減などを意識した取り組みや、より高度な知識の蓄積に積極的な姿勢を示す行動は事業成功の一粒としての意味がありますので、先ずは会社のみなず将来の自分のためにと考えを改めて欲しいものです。

見手行の能力

  1. 力 他店に先じて経済や社会、テクノロジー、政策などの動向を観察し、時流を見極める能力
  2. 力 他店に先じて商品の開発や販売に必要な経営資源を適正に投入する能力
  3. 力 他店に先じて市場での占有率、知名度を迅速に浸透させる能力

ネット通販の支援施策

小規模企業の振興に関する施策の総合的かつ計画な推進を図り、一貫した継続方針の下で必要な施策を重点的かつ効果的に実行することを目的に小規模企業振興基本法に基づく、小規模企業振興基本計画が策定され、①需要を見据えた経営の促進、②新陳代謝の促進、③地域経済に資する事業活動の推進、④地域ぐるみで総力を挙げた支援体制の整備など4つの目標を設定し、これらの実現に向け、10の重点施策が実施されます。
この重点目標にある「需要開拓に向けた支援」では、「商談会・展示会・即売会開催、アンテナショップ等の拠点整備やネット販売などIT活用を促進し、国内外の需要の開拓を促進する」としており、通販サイトを活用した販売支援や企業によるECサイト運営支援などが行われます。

続きを読む »

はじめてのWEB通販

ネット通販に活路を求める中小企業や起業を計画している人達を対象に、「事業計画作成サポートツール」を無料提供する日本最大級の起業支援サービスDREAM GATEやHTMLなどの知識がなくてもジンドゥーハウツーを参考に構築できるツールにJimdoがあります。

ニッポンセレクト

全国商工会連合会の公式通販サイトであるNIPPONSELECT.COMは、①日本国内の中小企業庁が定める「中小企業・小規模事業者」、②「ニッポンセレクト.com」を販路拡大のツールとし、産地直送方式で、売上向上に取り組もうと考える事業者に対し、申込費用や出品費用は無料で次のような販売促進を支援しています。

    • 商品力向上支援

一つ一つの商品は、専門のカメラマンが「写真撮影」し、「商品説明文」はライターによりECに適した文章の制作を行い、 ECサイトでの販売向上に欠かせない商品のPRを事務局が代行します。

    • 決済システム支援

事務局が一括契約、提供することにより、クレジット決済導入までの高いハードル、代金回収等の煩雑な業務を請け負い、多様な決済方法を提供すること購買力向上を目指します。

    • バイヤー商談会支援

バイヤ―商談会拠点を設置し、リアルタイムな商品情報提供、展示会を利用した「バイヤー」商談会を実施し、業務用市場(BtoB)への取り組みも支援します。

費用対効果の検証

ビジネスで使用する設備や備品の購入は投資に見合う効果が求められます。○○を導入することで、売上が上がるのか、あるいはコストが下がるのか、といったことを綿密、多面的に調査し、検討した上で導入するコスト意識は経営者に不可欠な資質です。

  1. WHO(誰が○○を使うのか)
  2. WHERE(どこで○○を使うのか、場所、場面)
  3. HOW(どのように使うのか、そのためのツールはどういうものか)
  4. WHY(なぜ必要なのか、現在はどうしているのか)
  5. EFFECT(○○の導入により、どういう効果が期待できるのか)
  6. VALUE(その効果は本当に投資に見合う価値があるのか、短期的、長期的)

« 続きを隠す


令和5年

2023年6月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

Webサイト内検索

表示数