労働講座.初心者のためのネットショップ開業総合支援講座

労働保険 最低賃金 雇用管理 創業助成金
労働保険

労働保険は労働者災害補償保険と雇用保険とを総称したものを言い、農林水産の事業の一部を除き、労働者を一人でも雇用すれば自動的に適用事業とされます。これらの保険給付は個別に行われますが、労働保険料の納付などは原則的に一体として取扱います。
従って、事業主は成立手続を行い、労働保険料を納付しなければなりませんが、この保険料は従業員に支払う賃金総額に保険料率を乗じて得た額になります。そのため、年3回以下の賞与も労働保険の賃金総額に含まれます。
また、労災保険分は全額が事業主負担、雇用保険分は事業主と従業員双方で負担し、労働保険料算定の基礎となる期間は毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間です。

労災保険

従業員や使用者の軽い業務上の傷病を国民健康保険や健康保険の保険証で治療することがありますが、この行為は使用者のポケットマネーで一部負担しても、保険金の詐欺行為になります。労働基準法では、業務上の事由による傷病などは使用者側の無過失責任が問われます。重大事故が発生すると企業の破綻が想定され、被災労働者への補償が不十分となるため、労働基準法は業務上の傷病について次のような義務を使用者に課しています。

  1. 傷病の療養に必要な費用を負担する療養補償(第75条)
  2. 3年間を限度とする休業補償(第76条)
  3. 障害が残った場合はその等級に応じた障害補償(第77条)
  4. 死亡した場合は遺族補償(第79条)並びに葬祭料(第80条)
  5. 休業補償が3年を超える場合の打切補償(第81条)を支給しなければならない
ただし、これらの補償が労災保険などで補償される場合、その範囲内で補償責任を免除されます。そのため、役員など以外の従業員を1人でも雇用すると労働日数と無関係に労災保険の加入が必要です。役員などは労働保険事務組合に事務委託することで第1種特別加入者として加入できます。労働者の業務上又は通勤途上の負傷や疾病、死亡などに対し、被災労働者と遺族に必要な給付が行われます。労災保険の保険料率は労災事故が発生しやすい事業かどうかで違いがありますが、労災保険料率は最低1,000分の4.5から最高1,000分の118まであります。適用の保険料率は労働基準監督署に届出る事業の種類で決まります。通信販売の卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業の場合は1,000分の5になります。
雇用保険

労働者が失業した場合や労働者の雇用継続が困難となる事由が生じた場合には、労働者の生活及び雇用の安定を図り、併せて再就職を促進するために必用な給付を行います。

失業給付の基本手当

雇用保険で受給できる失業給付は離職前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間が必要です。また、1日当たりの金額を基本手当日額といい、年齢区分毎に上限額が定められています。この基本手当日額は原則として離職日の直前6ヶ月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180日で除した賃金日額50〜80%で、賃金の低い人ほど高い率になります。
ただし、求職申込み後の失業状態にある7日間は基本手当が不支給の待期期間であり、自己都合の退職又は自己の責めに帰すべき重大な理由で解雇された場合、3ヶ月間の給付制限期間が加算されます。

【基本手当日額の上限額】(平成19年8月1日現在:最低補償額2,070円)

30歳未満・60歳以上 30歳〜45歳未満 45歳〜60歳未満 60歳〜65歳未満
6,365円 7,070円 7,775円 6,777円

失業給付の給付日数

■一般受給資格者(自己都合による離職)
被保険者期間 10年未満 10年以上20年未満 20年以上
全年齢(65歳未満) 90日 120日 150日
■特定受給資格者(解雇・倒産等の事業所都合による離職)
被保険者期間 1年未満 1年〜5年 5年〜10年 10年〜20年 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日 -
30〜35歳未満 180日 210日 240日
35〜45歳未満 240日 270日
45〜60歳未満 180日 240日 270日 330日
60〜65歳未満 150日 180日 210日 240日
なお、自己都合による離職でも特定受給資格者となる場合があります。例えば、イジメや45時間を超える時間外労働が離職日前3ヶ月間に連続していた場合などが該当します。

雇用保険の加入対象者

所定労働時間が週20時間以上、且つ、1年以上雇用見込みのあるパートなどは強制加入の対象者です。
週所定労働時間 65歳未満 65歳以上
30時間以上 短時間労働被保険者以外 高年齢継続被保険者
20時間以上30時間未満 短時間労働被保険者 短時間労働被保険者である高年齢継続被保険者
■65歳以上の方は65歳以前から引き続き同一の事業主に雇用されている方に限ります。
■65歳以降新たに雇用された方は被保険者に該当しません。

雇用保険料

年度概算保険料の計算に使用する雇用保険料(平成19年4月1日改定)
事業の種類 保険率 事業主負担率 被保険者負担率
一般の事業 15/1000 9/1000 6/1000
農林水産
清酒製造の事業
17/1000 10/1000 7/1000
建設の事業 18/1000 11/1000 7/1000
保険年度の初日で満64歳以上の従業員は保険料が全額免除なので、徴収は不要です。

雇用保険の被保険者負担額と端数処理

雇用保険の被保険者負担額は従業員に支払われた賃金額に上記の被保険者負担率を乗じて算出します。この被保険者負担額は従業員に賃金を支払う都度、その賃金に応ずる負担分を賃金から控除します。賃金に1円未満の端数がある場合「通貨の単位及び貨幣の発行などに関する法律」に基づき計算します。事業主が雇用保険の被保険者負担額を賃金控除する場合は控除後の賃金支払い時点で端数処理しますが、この結果、50銭以下の場合は切り捨て、50銭1厘以上の場合は切り上げになります。ただし、この端数処理の取扱いに労使間で慣習的な取扱い特約のある場合、この限りではありません。例えば、従来から切り捨てされていた場合、引続き同様の取扱いを行っても差支えないとされます。
労働保険料の納付

保険料は年度当初に概算で申告・納付し、翌年度に前年度の賃金総額の確定額で、これを清算します。また、保険年度初に前年度分の不足が生じた場合、その不足額と当年度の概算保険料を納付します。これらの重要な手続きを「年度更新」と言い、毎年4月1日から5月20日までの間に処理手続を行います。概算保険料が40万円以上や労働保険事務組合に事務委託している場合は3回の分割納付ができます。また、労災保険か雇用保険の一方のみに保険関係が成立している場合は20万円以上が分割の対象になります。

3回分割 6月1日〜9月30日に成立した事業
第1期 第2期 第3期 第1期 第2期
4月1日〜
7月31日
8月1〜
11月30日
12月1日〜
3月31日
成立日〜
11月30日
12月1日〜
3月31日
納期5月20日 8月31日 11月30日 成立日〜50日 11月30日

年度途中において、賃金総額の見込み額が当初の申告より100分の200を超えて増加し、且つ、その賃金総額による概算保険料の額が申告済の概算保険料に比べ、13万円以上増加する場合は当該増加額を増加概算保険料として申告・納付することになります。

労働保険料の負担額

労働保険料は従業員の賃金総額に労災保険や雇用保険の各保険料率を乗じて算出します。【ネットショップ例】基本給及び通勤等の各種手当を含む賃金総額1,000,800円の場合
          5    9
1,000,000円×(────+────)=14,000円(事業主負担額)
         1,000  1,000
        6
1,000,000円×───(雇用保険被保険者負担率)=6,000円(従業員負担額)
       1,000
なお、実際は全従業員の賃金から控除する雇用保険料の預り金を充当するので、次の計算になります。
         5          15
1,000,000円×───+1,000,000円×────−500円×12ヶ月(被保険者分預金)=14,000円
        1,000        1,000 

第一種特別加入者の保険料

特別加入者が業務災害などの労災保険を受給する場合、給付額の計算基礎になるのが給付基礎日額です。この基礎日額に365日を乗じた額を保険料算定基礎額と言います。
また、年度中途の加入脱退は月単位で保険料算定基礎額を算出します。給付基礎日額の選択は自分なら日当はいくらが適正なのか、或いは直近数年の平均所得額を365日で除した額を目安にするのが一般的ですが、制限があるわけではありません。

■年間保険料=給付基礎日額×365日×適用事業保険料率
給付基礎日額、保険料算定基礎額及び小売業であるネットショップの保険料は別表のとおりです。なお、明らかな業務上災害であっても通常の労働時間外で従業員などの現認者がいない場合、給付が受けられないことがありますので、承認申請書の業務内容や労働時間欄などの記入には特に注意が必要です。

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