経営講座.初心者のためのネットショップ開業総合支援講座

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販売価格の設定

通常の販売価格は最大限の努力で確保した仕入価格に値入率を乗じて設定しますが、ネットショップの粗利益率は35〜40%が必要と言われます。ただし、市場価格を無視できないので、価格比較サイトでチェックすることも必要です。

これらの価格調査は消費者の質問や評価、感想等の口コミ情報が充実し、商品開発にメーカーも注目する価格.comECナビ価格比較ナビ、大手通販サイトの商品ページ閲覧中に他店の価格情報を自動ポップアップ通知するShoppingFinder、地域の折込みチラシを検索できる電子チラシのShufoo!、スーパーチラシ専門の毎日特売などがあります。

ラクーン社が運営するオンライン激安問屋や姉妹サイトのスーパーデリバリー仕入れ.orgなどは初心者向けの仕入サイトとしてオークションの出品などに利用されます。

オンライン上には、食材関連の仕入サイトであるFOODS Info Martやすいおろし.COMのような分野別の商品仕入サイトも数多くあります。

値入率の算式は1÷(1−予定粗利益率)なので、例えば粗利益率を30%とする場合は値入率を1.429にします。この値入率を仕入価格の5,000円に乗じた7,145円が販売価格です。仕入価格÷(1−粗利益率)の算式を利用し、5,000円を0.7で除する計算でも同様です。

商売の醍醐味である価格政策はプロでも難易度の高い業務の一つです。価格競争の厳しい時代は時や場所、年齢、性別等の属性で価格変動する一物百価が当然です。

初回の値入に失敗し、売れないからと安易な値下げ処分をすることは厳に慎まなければなりません。当初価格で購入されたお客様へお店の利益を余分に負担させ、価格自体に不信感を持たれるので、信用失墜にも影響するからです。

とにかく安い価格より、これらの属性にマッチした適合価格がネット通販の基本価格政策になります。代表的なコンビニ店は時や場所に適合した価格設定で成功しています。

安いお店の演出方法

お客様に安いお店だと感じられるには、散発的な特売だけでは限界があります。お客様はインターネットを通じて価格の比較を容易にチェックできる環境にあるので、継続的な利益確保は消費者の購買心理に着目した心理的価格を設定し、相対的に安いと感じられる演出が必要です。ただし、程度を超えると不信感に転換しますので、注意が必要です。

  • おとり(撒き餌)価格
    消費者を引き寄せるために極端に低い価格を表示することで、このうち赤字で太く、大きく目立った割引価格を赤札価格と言い、冷凍食品3割引、水着半額セールなどバーゲンセールでの価格設定がこれに相当します
  • 端数価格
    価格の端数を98円、978円など大台に僅かに下回る価格を表示することで、消費者に割安感を訴求する
  • 端数のない価格
    特定商品にペア旅行券10万円のクイズ、3億円が当たる宝くじプレゼントなどの端数のない大台価格をつけることで、商品に高い価値があることをイメージさせる
  • 商品の差別化
    オリジナル商品の開発や類似商品の発掘で価格比較を難しくする
  • 均一価格
    均一の価格表示で、○○円均一コーナーや売価別の商品コーナーで安さを訴求する
    【例】百円、五百円、千円均一ショップの商品は全てが安いわけではありません。
  • 小分け、セット化
    個数単位のバラ売りや重量単位の量り売り、商品の組み合わせ価格を表示する
  • 仕入に応じて流動的な価格を表示する
    仕入れが安くできた場合は理由を示し、薄利多売に努める
    【例】新商品のキャンペーンや廃番
  • 季節物の売価
    ハシリは他店より安くし、安いイメージのまま、旬に入ります
  • 二重価格札
    二つの価格の一方を二重線で消して表示する
  • 価格帯を絞り込み、売価の種類を減らす
    【例】900円台から9,000円台の7種ある商品を1,000円、3,000円、5,000円台の3種に集約する
この他に名声価格として高級ブランド品や健康食品、化粧品などは高価格であることが高品質の保証であり、しかも日常的に使用していることがステータスとなるため、意識的に高めの価格設定をする場合があります。

また、価格の訴求より、お買い得感や人気のあるように装う方法にマンションや宅地などの完成物件を一括分譲せず、数度の分譲時期に設定し、販売物件を小出しにすることで、短期間で完売とし、第二期分譲に繋ぐ方法もあります。

ロスリーダーの考え方

ロスリーダーとは、来店客数を増やすための利益を度外視した低価格を設定した目玉商品を意味します。商品本来の利益を犠牲にして来店客数を増やすことで他の商品の販売を促進するマーケティング手法として利用されます。

一般的に単価が安く大量販売しやすい商品を対象とします。具体的には白物商品が伝統的に多いようです。ネットショップの場合はロスリーダーを中心に、売りたい商品を左隣りに配置するのが原則です。

ドロシーレーンの法則

商品別や品目別の粗利益率を顧客の心理効果を利用した適正配分で売上の向上を図ります。顧客は特定少数商品の大幅値下げより、平均的に商品価格を引き下げた方が安いと思い込む傾向があると言う法則です。

このように全商品の価格を他店より絶対的に安くする必要はなく、相対的な安さで勝負する方法もあるのです。

  • 全体18%の商品を安い価格にすれば、85%の顧客は全商品が安いと思う
  • 全体30%の商品を安い価格にすれば、95%の顧客は全商品が安いと思う
  • 全体48%の商品を安い価格にすれば、殆どの顧客は全商品が安いと思う
利益計画の基本

利益と価格の考え方

粗利益率が高いほど儲かると考えるのが一般的ですが、実際は粗利益率が高い商品ほどロスが多く、量的に売れない分野に属する場合が多いようです。

この分野の商品回転率は低く、仕入単価も高いので、資金に余裕がないと商品在庫が減少し、品揃え不足や品切れなどによる販売機会の損失が高まります。こうなると益々売れないわけですから、資金力の乏しいお店は出店難易度の高い分野と言えます。

粗利益率と商品回転率とのバランスがとれた商品を取り扱うことが基本です。これを具体的に表す指標に粗利益率×商品回転率で表される交差比率があります。

交差比率の指標は一般的に高額商品や嗜好性の高い商品ほど低く、逆にスーパー、コンビニ店で売られる食品や低額の日用品ほど高くなる傾向があります。

平成15年度の中小企業経営指標による小売業平均商品回転率は10.0回、粗利益率40.4%です。小売業平均の交差比率は404%で、高回転の代表的な飲食料品小売業の指標である1,610%の4分の1程度です。また、個別商品の売れ行き状況を観察し、交差比率を高める具体策に次のような方法があります。

  • 販売価格を安くすれば量が出るものは少し値入を低めに設定する
  • 販売価格を安くしても量が少ししか出ないものは少し値入を高めに設定する
  • 販売価格を安くしても量がほとんど出ないものは販売方法を早急に見直しをする

           年間売上高
通常は商品回転率=─────────で表します。
          年間平均在庫高 

      四半期間売上高
これを─────────── の3ヶ月で計算すると、よりきめ細かい個別管理が可能です。
     四半期平均在庫高

この3ヶ月は春夏秋冬の季節を指しますが、一般に多くの商品は季節と相関関係があるとされています。例えば、気温、伝統行事、旬の食材、祝日等により同一商品でも売れ行きが違うことは広く知られています。

また、月次決算は月の曜日配列や祝祭日の条件が異なり、正しく比較できない場合があるので、週次決算にするお店もあります。

交差比率に商品別の売上比率を乗じたものに商品別利益貢献度があります。これは交差比率優先の品揃えだけでなく、売上全体に占める個別商品の売上割合も考慮します。

商品は相互に関連し、比較や相乗効果があって売れる場合があります。一部商品の突然の撤去は、その後の売上に影響しますので、注意が必要です。

在庫管理の重要性

適正在庫を把握し、管理することは資金繰りと利益を左右する重要なポイントです。商品の特性や売上状況に応じた仕入と数量の両面から統制しますが、売れ筋商品を把握し、最少の在庫リスクで、かつ、品切れの起こらない品目数と在庫数の適正化を図ります。

通常の仕入資金は季節的な要因を除き、売上金と連動するものですが、限られた予算内で品目数を多くすると1品目あたりの在庫が減少し、逆に品目数が少なくなれば、在庫数を増やすことができます。

  • 在庫増加の影響
    ・仕入の増加はキャッシュアウトなので、資金繰りが苦しくなる
    ・総資産が増加するため、総資本回転率や総資本利益率が低下する
    ・経年や鮮度劣化に伴う在庫の価値が低下する(ロス、死蔵品の廃棄処理費の発生)
  • 在庫減少の影響
    ・在庫切れは販売機会を失う
    ・品揃えが少なくなるとお店の魅力も低下する
販売予定利益の設定

価格設定と粗利益額

【事例】商品の仕入価格5,000円、販売予定数量200個の商品を販売する場合
A.販売消化率(%) 50 25 15 8 2 計100%
B.設定値引率(%) 0 20 30 50 80 -
C.設定粗利益率(%) 40.0 25.0 14.3 -20.0 -200.0 -
D.予定販売数量 100 50 30 16 4 計200個
E.予定販売価格 8,333 6,666 5,833 4,167 1,667 -
F.予定売上金額 833,300 333,300 174,990 66,672 6,668 計1,414,930
G.予定粗利益額 333,320 83,300 24,990 ▲13,328 ▲13,332 計414,950
H.累積粗利益率(%) 40.0 35.7 32.9 30.4 29.3 -

一定期間内に初期設定の8,333円で全部が販売できた場合、8,333円×200個の売上が期待できます。季節商品や流行商品などは早期完売が必要なので、売れ足や時期を見ながら値下げするのが一般的です。

この場合は当初の期待利益が確保できなくなるので、事前に販売計画を立案して置く必要があります。

一般に値引率と販売数はある程度まで正比例すると言われます。上記の例は200個の50%相当の100個が売れた時点で20%値下げし、6,666円で50個の販売を計画しています。

この場合は最終的に80%引きで最後の4個を完売するので、売上を1,414,930円に予定します。この結果、平均粗利益率が約29.3%なので、414,950円の粗利益が確保されます。

仕入数量200個の10%が赤字販売なのに対し、当初粗利益率の約10%低下で完売できることになります。最初から10%引きの粗利益率30%で販売すると販促効果の高い値下げを期間中に実施できなくなり、完売できる可能性がより少なくなると考えられます。

このように販売消化率と値引率との関係を理解する必要があります。高い粗利益率を設定できる商品だけでなく、初期販売消化率の高い商品に注目するべきなのです。それには、少なくとも50%以上を目標とした売れ筋商品の確保がポイントになります。

特にファションや流行性、季節性のあるライフサイクルが比較的短い場合は注意が必要です。この場合、見切りが利益を左右する販売価格と販売消化率及び価格弾力性の相関をチェックします。

お客様の期待価格を著しく下回る値引きで赤字を増やすことも得策ではありません。価格の変動が売上に及ぼす影響度を示す価格弾力性の検証が必要です。

価格弾力性

        需要の変化率   S1−S2  P1+P2
価格弾力性|α|=───────=────×────で表します。
        価格の変化率   S1+S2  P1−P2

価格弾力性のシュミレーション
S1(価格変更後の販売数量) P1(変更後価格)
S2(価格変更前の販売数量) P2(変更前価格)
データを 価格弾力性値 α=

【例】5,000円(仕入2,500円)で100個販売可能な商品の同額粗利益に必要な販売個数

売価 3,000 3,500 4,000 5,000 5,500 6,000 6,500
販売数 200 180 160 100 91 50 20
粗利益 100,000 180,000 240,000 250,000 273,000 175,000 80,000
必要数 500 250 167 100 84 72 63
弾力性 1.33 1.62 2.08 - 0.99 3.67 5.11

事例では、5,500円の価格弾力性が1.0以下で、価格変動による販売数は余り影響を受けません。値引きは4,000円の設定が販売数に最も大きく影響を及ぼしているので、利益重視の場合は500円値上げをし、数量重視の場合は4,000円に設定するが最も効率的です。

価格弾力性<1の場合

日用品や必需品等に多いこのタイプの値下げは価格が下がる比率よりも小さい比率でしか、販売個数は増加しないので、売上は減少します。値上げは価格が上がる比率よりも小さい比率でしか、販売個数が減少しないので、売上は増加します。

価格弾力性>1の場合

奢侈品や嗜好品などに多いこのタイプの値下げは価格が下がる比率よりも大きい比率で販売個数は増加するので、売上は増加します。値上げすると価格が上がる比率よりも大きい比率で販売個数が減少するので、売上は減少します。

この価格弾力性は商品の種類や人気だけでなく、社会現象や客層の購買傾向によっても影響されます。どの商品をいくら値下げすると販売数が伸びるのか、しっかり見極める必要があります。

例えば、女性を対象とした割引サービスが効果的な理由に男性に比べ女性は価格に敏感であり、換言すれば価格弾力性が大きいと考えられているからです。

売価利益率と原価利益率

50%の利益入りだから50%の値引をしても損はないなどと思い込んでいる人がいます。これは売価利益率と原価利益率とを混同しているので要注意です。通常の場合、利益率は売価を分母にして計算します。

例えば値入率を1.5とした場合、50%の利益が確保されたと思い違いすることがあります。これは原価5,000円だと売価10,000円が売価基準利益率の50%に相当します。原価基準売価は7,500円なので、原価基準利益率の50%は売価基準利益率の33.3%に相当します。

値引きの対策法

値引きを要求されることは、ほとんどないと思いますが、メールなどでのお問合せは次の点に注意します。この場合はお問合せのメールを契機に次回の購買機会に繋がるよう丁寧な応対が得策です。

最初にお問合せのメールの内容は価格だけでなく、商品をどれ位気に入っているのかの見極めが大切です。値引きできない旨の表示はお店の雰囲気が冷たくなるので、事実であってもお薦めできません。

  • 初期設定の販売価格は安易に付け替えしない
  • ○○なので、ご容赦願います(とてもご無理なご注文です)などの理由を説明し、丁寧な即答を心がける
  • 根拠もなく、価格が高いとの言い分は鵜呑みにしない
  • 値引き交渉は先に価格を聞き出し、妥協点を探りながら、こちらも簡単な条件を提示します。そうすると、お客様は対等に交渉した満足感(お買い得感)が得られます
  • 価格以外の条件で対応し、バーゲンセールの予定があれば、これをお知らせする

値引きの方法

値引きは一般にクーポンを臨機応変に組合せて利用すると効果があります。特に実店舗のある場合のクーポンはサイトページから印刷出力することで、次のようなプレゼントや割引き、無料などのサービス優待券として広く発行されています。

クーポンの内容次第で値引きや無料サービスに対応できる便利なシステムです。実例については、割引クーポンの情報サイトであるクーポンガイドなどをご覧ください。

  • 指定商品50円値引き、指定商品10%値引きなどの個別値引券として発行
  • 一定額以上に購買額の5%値引き、曜日指定の5%値引き等の総額値引券として発行
  • 送料、ラッピング、振込手数料、粗品等の無料券として発行

その他、次回のお買い上げ以降に利用できるクーポン、一定回数や一定額以上の購買客に限定したクーポンなど、アイデア次第で工夫できる余地がありますが、有効期限と条件の記載は必須です。値引きには、価格不信を招かないようやり過ぎにご注意ください。

  • 購買商品の個別価格から値引きする方法
    お試し値引き、バンドル値引き、理由あり値引き、在庫処分値引き、限定値引き
  • 購買商品の総額から値引きする方法
    会員値引き、ポイント還元値引き、抽選値引き量販値引き記念日値引き
  • 共同購入商品の数量によって値引きする方法
    共同購入者の全員を対象に量販値引き販売するネットプライスが代表的です。

中でも、抽選値引きは特に訴求力が高く、インパクトのある方法としてよく利用されます。例えば、20人毎に1人が無料となるキャンペーンは10人毎に1人を50%引きとしたのと同じ値引き幅になります。

これは、全品5%値引きと同じ効果ですが、話題性や訴求の効力が全然違います。一部の家電量販チェーン店や航空会社が採用した実績があります。

【例1】キャンペーン前の客単価5,000円で客数80人、キャンペーンに変動のない場合

  • 全品5%値引きの場合
    売上は5,000円×(1−5%)×80人の380,000円
  • 20人毎に1人無料キャンペーンの場合
    4人が無料なので、売上は5,000円×(80−4)人の380,000円になります。これは、キャンペーン前の売上400,000円の5%引きに相当します。
  • 10人毎に1人50%OFFキャンペーンの場合
    8人が50%引きなので、売上は5,000円×(80−8)人+5,000円×(1−50%)×8人の380,000円になります。こちらも、キャンペーン前の売上の5%引きに相当します。
【例2】キャンペーン効果で客数120人となった場合
  • 無料キャンペーンの場合
    6人が無料なので、売上は5,000円×(120−6)人の570,000円
  • 50%OFFキャンペーンの場合
    12人が50%引きなので、売上は5,000円×(120−12)人+5,000円×(1−50%)×12人の570,000円になります。
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