運営講座.初心者のためのネットショップ開業総合支援講座

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代金の回収法

直接、商品代金を受け取ることができないネットショップでは、常に代金未回収の不安があります。この不安とリスクは実店舗のないネットショップにとって、避けることのできない宿命の課題です。一方、クレジットを利用するまでもなく、お店の経営方針、店主の人柄、お客様への対応姿勢などがしっかり説明されているお店には、未収事故がほとんどないのも事実です。

回収の留意点

代金後払いは営業年数の少ないネットショップにとっても初回の信用を担保する基本的な支払方法です。代金の未払いにどう対応し、どう処理するかの手順を決めておく必要があります。くれぐれも支払わない人が悪いと一方的に決め付けないことが大切です。
偏見があるとメールや電話で対応する際に相手を見下したり、感情的にこじれる原因になります。支払わないのは、それぞれ理由があるからで、悪意ばかりではないからです。
最初から悪意ある人は詐欺などの刑事事件に該当しますが、通常取引で悪意を証明することはとても困難です。通常の取引は民事に該当するので、警察が介入するわけではありません。また、消費者センターに相当する事業者センターがあるわけでもありません。面倒でも話合いを基本に解決するのが最善の方策です。
法的な決着は金銭や時間、精神的エネルギーの損失を覚悟しなければなりません。冷静に商品価値>(金銭+時間+精神)の価値があるかどうかを判断しなければならないのです。大抵のネットショップの場合、商品価値の方が大であることは、まず考えられません。
もちろん、最初から簡単に泣き寝入りすることもないわけですが、時には高度な経営判断も必要です。悔しい気持ちや正義感は分かりますが、この論理式に感情が含まれていない点をご理解ください。
ただし、簡単に回収を諦めることは、回収に甘いお店として評価される心配もあるので、引き際は大切です。法的措置は伝家の宝刀の如く、抜く気配を見せながら、譲歩を引き出す目的で利用すべきものなのです。抜けば引っ込みが付かなくなるので、本気で抜く気配を見せる迫真の演技が経営者に要求されます。

回収の極意

心の外に刀なきなり、敵と相対するとき刀に依らずして心を以って心を打つ」と言う極意があります。これは江戸城無血開城の功労者であった山岡鉄舟先生に無刀流の奥義を尋ねた人への返答です。このように、相手の心を打つ話しができるかどうかが、回収の決め手になるのですが、遠隔地のお客様に短期決着を図る必要があるので、これは難問です。
一般に商品を入手すると人の満足感や執着心は時の経過と伴に急速に醒めてしまう傾向があります。醒めてしまうと代価の支払いが惜しくなる心理が働きます。
必要なことは、満足感が少しでも残存する間に代金回収をする工夫であって、法的対抗ではありません。他の債権者に優先して、あなたのお店に支払ってもらえればよいのですから意外と簡単なことなのです。
少なくとも明日の食費を経済的な事情で心配する人がネットで買物するわけがないので、それほど魅力のあるウェブサイトや商品に自信を持つべきだと思います。
  • 相手の自尊心を傷つけない
    相手の非を徹底的に追及しないで、納得できる逃げ道を作っておくことが大切です。つまり名誉の撤退ができるような条件提示ができるかを考えておきます。
  • 説得しようと力まない
    こちらから一方的に説得しようとすると、反感を受けたり、黙り込んだりします。説得とは自分の考えを100%押し付けることなので、説明であると思わせ、相手が考えざるを得ないように仕向けます。考えることは、感情を沈静化します。
  • 不都合な点は隠さない
    話すタイミングは難しいのですが、後で判明すると何倍もの苦労と経済的な損失、信用低下が生じます。
  • 何が原因なのかを見極める
    相手の言い分をよく聴くことが大切です。相槌を打つように聴くことは相手自身を納得させる効果もあります。
ケース別回収法

支払期限日に入金がなかった場合

メール文で注意することは難しい単語や漢字をあまり使用せず、商品の到着確認と不都合の有無などの簡潔明瞭な内容で、最後にお忘れではないでしょうかなどの丁寧な文面で終わるようにします。 (振込確認メール作成例)
決して、最初から利益誘導や対決姿勢を表現するようなことを書いてはいけません。逆に、相手方の事情を心配するくらい気持ちのこもった文面が望ましいのです。

再度の支払期限日に入金がなかった場合

メールが読まれていないことが予想されますので、直接の電話をする必要があります。話す内容を事前に整理、メモしておき語調は沈着冷静、丁寧に応対します。横柄で不快な人もいますが、ここは辛抱です。
貸金業者ではないので、夜中や明け方に電話しても取立て規制の対象となるような違法行為ではありませんが、この規制内容はとても参考になります。聞き漏れがないよう、再度の確認メールやファクスも必要です。(振込督促メール作成例

入金が無理であるとの連絡があった場合

支払いが無理との連絡があった場合は理由の内容を検討します。支払う気持ちがあり、現在支払能力がない場合は一時的なものなのか、短期又は長期の間、その状態が継続するのかを判断し、一時的なもの以外であれば、商品の返品を要請します。返品を受けても再販できない場合もありますが、これは商人のプライドでありケジメでもあるのです。
返済計画があれば、時効の中断効果があり、債務の承認と返済確約ができる債務承諾書や残存債務の一括支払い義務(期限の利益喪失)を記載した分割支払契約書を作成します。
この場合は年利6%の遅延損害金も請求可能ですが、長期戦になりますので、覚悟の決断が必要です。また、現在は支払う意思がないものの、支払能力のある場合は相手方の言い分をよく聞く必要があるでしょう。

商品が期待どおりでなかった、対応に不備があったなどの不満がある場合

話し合いで不満原因を明らかにし、こちらも譲歩して相手が全く払う気をなくさせないようにします。もちろん、こちらに非があれば謝るのは当然です。
この場合、あまり卑屈にならず、相手方に非があっても突き詰めないことが肝要です。非や勘違いに後で気づき、バツが悪いため虚勢を張ることもあるからです。

特に不満があるわけではないが、支払いの優先度が低い場合

とにかく話し合いでお願いしてみることが大切です。こちらから先に条件提示することは不要です。この場合は債務承認と返済確約に加え、時効中断のある分割支払契約書の作成を提案するのが効果的です。相手によって、費用対効果の面で内容証明にするかどうかを思案しますが、支払催促の意志は伝えます。

支払う意思がない場合

最初から支払う意思も能力もないと相手が認めれば、詐欺罪に該当しますので、相手方は商品や対応の不満をこじつけ、今はお金がないなどの理由で先延ばしを謀ろうとします。残念ながらこの場合は商品の返品を請求し、きっぱり諦めます。
それも遠方であればなおさらです。返品も期待できませんが、これ以上は精神衛生に宜しくありません。ネット通販は万引きがないので、勉強代として今後の糧としましょう。

最後に荒技の債権譲渡で回収する方法がありますのでご紹介します。これは、取引条件に債権譲渡の特約禁止事項がない場合に利用できます。サイト内の取引条件欄に延滞売掛債権は譲渡する場合がある旨を表記すれば、お客様は完全に退きます。
これを逆手にとって債権譲渡契約書を作成し、債権を譲渡した旨の通知書をお店である譲渡人が代金未払いの相手方に内容証明で郵送する方法があります。
実際に少額の売掛債権を買い取る業者はありませんが、第三者へ譲渡する意思を示すことで、全く予想外の展開とプロの債権回収業者に対する不安感から相手方は動揺します。
このように、支払期限日の入金がない場合は債権回収専門業者に売掛代金の債権を譲渡する意思がある旨の内容証明を郵送し、反応を見る方法があります。
それでも効果がなければ、知人名義などを使用して債権譲受人になってもらい、譲渡された債権額に譲渡事務手数料○万円を加算するなどの懲罰的な条件や○月○日迄に支払えば、○%減額するなどの譲歩条件を提示した内容証明を郵送し、硬軟織りまぜて交渉します。これらの文面を工夫すれば、効果は絶大です。
ただし、過度になるとお店の信用を失うどころか、脅迫とも受け取られかねません。弁護士法第73条の「何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によって、その権利の実行をすることをとすることができない」旨の規定と罰則があります。例外とされる債権管理回収業は法務大臣が許可した株式会社に限定され、法13条第2項により債権回収会社の名称は許可された会社以外は使用できません。(100万円以下の罰金)
以上のような手間が面倒であれば、最初から集金代行専門業者に売掛代金の回収を委託する意思がある旨の内容証明を郵送し、反応を見る方法があります。
この場合は売掛債権の譲渡はないので、支払先は変わらず、全く問題はありませんが、集金代行業者と債権回収業者の違いがわかる人であれば、その時は相手が悪かったと諦める引き際も大切です。

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